2023年に読んで良かった本ランキング

2023年中に読了した本を振り返ってみました。

その中から独断で良かったと思った本を5冊レビューしてみました。

第5位

「怪談和尚の京都怪奇譚 妖言の間篇」

(文春文庫)三木大雲

★特長

「怖い話」+「仏教説法」で人気の三木大雲住職の怪談説法

シリーズ第6弾!

 

★魅力

怖がらせるための創作話ではなく、

不思議な体験を通して、より良く生きていく上で大事なことを教えてくれます。

一つ一つのお話で感動します。

 

★感想

亡くなった方の恩や感謝を普段は忘れがちですが、

こういったお話をきっかけに思い出すことは、

とても大事だと思いました。

いつもながら心あたたまる優しい説法にほっこりします。

 

★おススメの人

怖い話に興味がある方

目に見えないことを感じられる方や信じられる方

ほっこりしたい方

第4位

「博士の愛した数式」

(新潮文庫)小川 洋子

★特長

2003年新潮社より刊行

2004年第1回本屋大賞受賞作となる

2006年1月映画化(寺尾聡、深津絵里、齋藤隆成、浅丘ルリ子)

 

交通事故による脳の損傷で記憶が80分しか持続しなくなってしまった元数学者「博士」と、彼の新しい家政婦である「私」とその息子「ルート」の心のふれあいを、美しい数式と共に描いた作品。

 

★魅力

愛おしい登場人物たちの、優しさや思いやりにより心が洗われる。

懐かしの阪神タイガースの選手たち。

ゼロ、素数、完全数、数式の美しさ。

 

★感想

博士の記憶保持障害は、他人事では無いと感じながら読み進めた。

誰もが遅かれ早かれ、老化の過程で起こり得ること。

親子の博士への気遣いは、身の回りで認知症になられた方への気遣いとして、見習うべきだと感じました。

博士、家政婦である主人公、主人公の子であるルートのお互いへの思いやりが、いろんな事件を通じて描かれていて、ほっこりと心が洗われ、愛おしく感じられる。

 

★おススメの人

感動したい人。

算数、数学の好きな人。

阪神タイガースが好きな人。

同率第2位

「ある男」

(文春文庫)平野 啓一郎

★特長

2018年9月発刊。

第70回読売文学賞受賞作。

2022年11月映画公開。

主演は妻夫木聡(城戸役)。

映画のコマーシャルでの安藤サクラ(谷口里枝役)と、眞島秀和(谷口恭一役)のやり取りのシーンが印象的。

 

★魅力

愛するご主人(お父さん)が不慮の事故で亡くなり、その死後に実はそれが別人だったと分かるところから始まるミステリーに引き込まれます。

謎を追っていく中で、人に対する差別や偏見、といった社会問題についても考えさせられます。

決して他人事ではないということに気付かされます。

 

★感想

レッテル、バイアス

ある属性でもその中には更に色んな分類されるべき特性があり、一派一絡げに扱うと、色眼鏡で見誤ってしまう。

在日、死刑廃止論などの社会問題も知らしめ考えさせられる。

その人そのものを見るべき。

単なる娯楽で終わらない、様々な社会問題や、人間関係について考えさせられる骨太のミステリー。

自らの出自に苦しみ抜いた末、わずか数年間であったが幸せを掴んだ男。

応援したい気持ちと、自分もレッテルを貼ったり、差別をする可能性があることを思い知らされた。

 

★おススメの人

骨太の社会派ミステリーに興味のある方。

 

同率第2位

「盤上の向日葵」ばんじょうのひまわり

(中公文庫)柚月 裕子

★特長

長編ミステリー小説

第15回本屋大賞第2位ランクイン(2018年)

2019年9月NHK BSプレミアムにてドラマ化

 

前半

①死体遺棄事件を追う二人の刑事

元奨励会出身で夢破れた経歴を持つ若手刑事とベテラン敏腕刑事。

手掛かりは死体と一緒に埋葬されていた高価な将棋の駒。

駒に関わる全ての人をしらみつぶしに追って行く。

②不遇な生い立ちの上条桂介が、出会った人に助けられながら、最低な父親の元を離れて上京するまでの話。

 

後半

①数ある駒の所有者を突き止め、残る一つの駒を追い続ける二人の刑事。

ついに桂介に辿り着く。

②上京した桂介が真剣師東明に出会い、魅せられ、恩師から賜った貴重な駒を騙し取られる。

駒を買い戻すことを目的に頑張った結果、社会的に成功。

そこへかつてのクズ親と真剣師がそれぞれ現われて…。

 

★魅力

無冠の将棋実力者上条の魅力。

上条が将棋を指している描写が爽快で面白い。

真剣師(賭け将棋師)東明の鬼気迫る将棋指しぶり。

解説を羽生善治さんが書かれ、作中に登場する「真剣師」や美術品としての「盤駒」について触れられています。

 

★感想

上条桂介の生い立ちが悲惨。

唐沢の桂介への愛情。

母を連想させる「ゴッホの向日葵」

一夜にして駒を騙し取り、巧妙に換金した東明に腹が立つ。

成功しても、会いたくないクズ2人に会いに来られる場面は、とても腹立たしかった。

親の犯した過ちが、巡り巡って子どもに因果として降りかかり、振り払うも力及ばなかった。

「将棋」に出会えたことが唯一の救いだったのかもしれない。

 

★おススメの人

将棋に詳しい方は、作中棋譜が頻繁に登場しますので、より楽しめると思います。

被害者は誰か?犯人は誰か?なぜ高価な駒が一緒に埋葬されていたのか?
といったミステリーでもありますが、

幼少期に虐待を受けるなど悲惨な運命の中、

「将棋」に出会い、逞しく成長していく上条桂介の人間ドラマでもあります。

社会問題を通じて描かれる人間ドラマが好きな方。 

第1位

「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」

(幻冬舎文庫)橘玲

★特長

YouTubeの「本の要約」チャンネルで知り、みんなが心の中で思っているが、口に出せないことを言っている気がして、確かめてみたくて手に取りました。

 

ありのままの「私」のままで成功できる哲学。

「伽藍を捨ててバザールへ向かえ。恐竜の尻尾のなかに頭を探せ。」

この言葉の謎を追っていく。

 

★魅力

この厳しい時代を生き抜くヒントを、いろんな論文をもとに書き表されている。

 

★感想

比較優位理論を知っていれば、間違った努力をせず、

自分はどこを目指して努力をすれば良いかが、分かりやすいと思いました。

伽藍を捨ててバザールに向かうことで、自殺も防げると思いました。

 

★おススメの人

自己啓発にハマったことのある方。

仕事や勉強、人間関係に悩んだことのある人。


最後までお読み下さり、ありがとうございました。

2024年は、個人的には大好きな歴史小説や、お気に入りの作家の作品に絞って読み尽くすのも良いなあと思っています。