本嫌いの少年がベストセラー作家になったきっかけ

「当教室に通うようになってから、本をたくさん読むようになった。」

「以前は読んでも全然内容を覚えて無かった。」

とおっしゃる受講生様からある作品をおススメ頂いた。

「これ、面白かったわあ」

「新開地の事件」松本清張

ベストセラー作家である東野圭吾さんが、
日本推理作家協会の70年代、80年代、90年代に刊行した短編ミステリベスト集から、
ご本人の好みにより選んだアンソロジー(異なる作者の作品を集めたもの)に選ばれた作品です。

このアンソロジーの名は、
「スペシャル・ブレンド・ミステリー　謎001」

この解説を選者である東野圭吾さんが書かれています。

それによりますと、
東野さんはかつて本嫌いな少年で高校に入るまで、小説と呼べるものは殆ど読まなかった。

高校生でミステリと出会い、人生が大きく転換。
最初にハマったのが「松本清張」

二人のお姉さんがよく読んでいて家にたくさんあった。

まだウブな高校生だった東野さんは「松本清張」を読むことで、

大人の汚い世界を覗いているような気がして大興奮し夢中になった。

同時に、人間の醜さや愚かさを描いた小説が一級品の娯楽になりうることを知った。

この「新開地の事件」のことを、
世界を俯瞰する視点の置き方、
ごつごつしているがわかりやすい表現、
描かれる事件の異様さ、
真相の不気味さ、
「これだよ、これ！」と
久しぶりに血が騒いだ。
とおっしゃっています。

まさに「本嫌いの少年が、ベストセラー作家の道へと大変換されたきっかけとなった作品」
70ページほどの短編ですので、
一度手に取られてみてはいかがでしょうか？

小説って、子どもにとっては、
「大人の汚い世界を覗き見て興奮するもの」
でもあったんですね。
わかる気がします。